G.RINAインタヴュー(前編)


G.RINA interview
自作のメロディと、既存のダブステップのリディム(トラック)をマッシュアップ――というストリート感溢れる新作アルバム『MELODY & RIDDIM #1: mashed pieces』をリリースしたばかりのG.RINAに、アルバムについての話を訊いてきました。まずはその前編です。(質問:飯島直樹)

もともと、何かのインストのトラックに自分の歌を乗せたりということは昔からやっていたので。作品にはしていないんですけど、そういうアイデアというのは……最近のマッシュアップ的なというよりも、ヒップホップ的な発想で自然に考えられるものだったんですけども。
──そういうことはライヴではよく演ってましたもんね。
そうですね。
──それをダブステップでやってみたと。
単純にダブステップに歌ものが少ないなあと思っていて、(最近のリリースに)わりとメロディアスなトラックも増えてきたという流れもあったので、自分が歌ものにしてしまえばいいんじゃないかと。
それと、自分の次のアルバムをどう作っていくかと考えたときに……大体トラックから作り始めるんですけど、あまり気分が乗らなくて。そんなときに、たとえば短距離走ではなくて日々のランニングみたいな感じで、自分の感覚を研ぎ澄ませるために、ダブステップのトラックに自分の歌を乗せるというのは、自分のトラック作りにもインスパイアするものがあると思ったので、発表とか考えずに、遊び感覚で作り始めたんです。
──これまでに、歌が先にあってトラックを後から付けるという制作過程はあったんですか?
いや全然ないです。リミックスをするときくらいです。だから感覚としてはリミックスに近いですね。自分の曲はわりとトラックから作り始めるので。

飯島さんに「なにかわたしが好きそうな曲がリリースされたら教えてください」ってお願いしていたんですよね。DJとしての発想だと、たとえばダブステップでも、もうちょっと前はレゲエのリフィックスものとか、既に何か乗っているものに反応していて、純粋なインストでそこまで好きになれるものはそんなになかったんです。ちょっとメロディアスな曲があっても、既に声の断片が入っている曲だったりして。完全なインストで歌が乗せられるかも、というのは本当にここ最近に多かった気がして、勢いがついたらポンポンとできたんですけど。
──ダブステップの潮流もどんどん変わっていますもんね。
UKガラージっぽいのとかレゲエの要素はもちろんのこと、アメリカのR&Bの要素というか、音に鎖国感がなくなってきた気がして面白いですね。

──盛り上がることや売ることが前提でマッシュアップしていく感じは多いと思うんですよね。でも今回の作品は本当に純粋に好きなこと、思いついたことをやっただけという感じが強かったですよね。売る/売らない以前の、楽しむという感じが強かった。
去年の始めにダブステップのトラックを自分でも作ってたんですけど、それは自分の元々あった曲を作り直して、そういうアレンジにしなおそうとしていたんですね。でも、あれ(VILLA DIAMANTEの作品)を聴いて、レゲエ調の曲をダブステップにしようとか関係なくなって。もっとやりたいことが新しい自分の歌を乗せることに変わっちゃったんです。
あと、これはちょっと新鮮だったんですけど、今回の作品をなんらかわかりやすく説明すると“マッシュアップ”って言うのが早い感じもあるけれど、作品にレスポンスをくれたイギリスのHANUMAN(MONKEY STEAK/STEAK HOUSE)が「君のリミックスいいね!」っていう言い方でメールをくれて。当事者がそういう受け取り方をしてくれたのは面白かったですね。

逆ですかね。『THE NIGHTBIRD』は、既にあるメロディや歌詞に対してトラックやアレンジをどう考えるかという作り方で、今回は既にあるトラックをメロディ・メイカー的にどう乗りこなすかという感じだったので。それぞれ、自分の中で満たされる場所が違うんですけど……今回こういうのをやってみて、想像以上に楽しかったですね。
──というのは?
いままで、いろいろ迷いながらやってきたんですけど、意外と自分がしたかったことは……たとえば日本語/英語にしても、たとえば大きなマーケットを意識することを期待されている状況にいたらば、こうするべきであるみたいな、たとえば日本語であるべきとか?知らず知らずそういう気持ちになっていたりして……。でも、そういうことじゃないんじゃないかと思えたんです。

──まぁでも、大きい会社からリリースしたという経験があったからこそ至った感触ですよね。
そうですね。そこでも、やりたいことをやらせてもらっていたと思うんですけど、それとは別に、勝手にちいさなことをいっぱい気にしていたから。
──正直、当時は僕から見ても気負いというか背負ってる感じがしました。でも、今回はストリート・アルバムとはいえ、とにかく楽しんで作ってる感じがします。
これまでオリジナル・アルバムを3枚出して、リリースする場所が変わったり、いろんなスタッフと関わってみたりして……結局、作品を作るにあたって自分にとっては、初期衝動みたいなことも重要な位置を占めていて、それが今回はたまたま自然にわきおこったから。本当にストリートに近いというか、生活に近いとか、そういうところが自分にすごく合ってるのかも……。だから、そういうことの延長でもっとできればなぁと思っているところです。
(後編へ続く)
Genre : 音楽 お気に入りアーティスト
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